不動産から賃貸物件を借りる際には、賃貸借契約を結ぶことになりますが、その中にも「普通借家契約」と「定期借家契約」の二つのタイプがあることはご存知でしょうか。契約をする際に、この二つの特徴や違いを理解しておくことで、スムーズな契約やトラブル防止にも繋がります。

今回の記事では、賃貸借契約における、「定期」と「定期」の特徴や違いについて、詳しくみていきたいと思います。

この記事を書いた人
高橋 恵衣

25年以上文京区在中。保育園はたんぽぽ保育園。小学校は湯島小学校。文京区で長い期間を過ごし、文京区(特に本郷・湯島)に詳しく、本郷三丁目の不動産屋ナミエ・エステートに所属し、専属ライターとして不動産業に携わり、お客様に本郷・湯島の素晴らしさを伝える。

【本郷三丁目不動産】そもそも賃貸借契約とは

不動産で物件を借りた人でも、「賃貸借契約」という言葉にはあまり馴染みがないかも知れません。賃貸借契約とは、「賃貸人が所有する物件を賃借人に使用させること」「賃借人が賃貸人に賃料を支払うこと」の二つを双方合意のもとで契約することをいいます。
簡単に言ってしまうと、「物件を借りる際に行う契約手続き」のことになります。この契約方法に「普通」と「定期」という二つのタイプがあるのです。

「賃貸借契約」と法律

賃貸借契約は、民法601条に定められた法律に基づいて作られており、賃貸物件を契約する際には必ず行わなければいけない契約です。また、民法に加えて消費者保護の観点から、消費者契約法では、契約の取り消し、消費者団体による差止請求などについても規定されています。
2020年4月には民法が介せされ、賃貸借契約終了時の原状回復、収去義務、敷金などのルールなども明確になっています。

普通借家契約とは

普通借家契約とは、正当事由が無ければ強制的退去などがなく契約更新することができる契約方法です。不動産で賃貸契約をする際には「2年ごとに更新」というケースが多いです。
普通借家契約の場合、借主が解約を希望しない限り、契約は継続されることになります。(更新の際には貸主へ更新料と仲介業者へ更新手数料を支払うのが一般的です)
通常の賃貸物件契約は、普通借家契約にあたるため、物件を借りたことがある人ならばお馴染みの契約方法と言えるでしょう。

定期借家契約とは

定期借家契約とは、名前の通り「定められた期間のみ賃貸借契約」する方法です。契約期間が満了した時点で契約解除となるため、基本的には契約の延長ができません。
基本的にと付け加えたのは、賃借人と賃貸人の間で合意がある場合は再契約することも可能だからです。基本的に更新できる普通借家契約と比べると、融通の効かない契約方法に感じてしまうかも知れませんが、数ヶ月単位の契約や今後のスケジュールが決まっている場合には、定期借家契約の方が普通借家契約より条件が良い場合も多いため、利用する人にとっては都合の良い契約方法となります。

「賃貸借契約」その他の分類

今回ご紹介する普通借家契約と定期借家契約以外にも、「建物賃貸借契約」と「土地賃貸借契約」というものがあります。ここでは、この二つについても簡単に解説しておきます。

●建物賃貸借契約
建物賃貸借契約とは、一軒家、アパート、マンションなど、その名の通り「建物」を借りるための契約方法で、一般の賃貸物件を借りる際にはこの契約方法が当てはまります。建物賃貸借契約には、先ほど解説した普通、定期の種類があり、一般的な賃貸物件の契約は「普通建物賃貸借契約」と言ったりもします。

●土地賃貸借契約
土地賃貸借契約は「土地」を借りるための契約方法で、賃借人から借りた土地に建物を建造し、営業、運営などをする目的で利用することが多いため、企業や個人事業の方が利用する契約方法と言えるでしょう。土地賃貸借契約は、コインパーキングや商業施設、テーマパーク建造など、さまざまなことに利用されている契約方法です。
土地賃貸借契約には、存続期間が決められており、契約が満了した時点で、賃貸人は建物を解体して更地にする必要があります。例えば、コンビニやスーパーなどが潰れて更地にされている土地などは、土地賃貸借契約で利用していた可能性があると言えます。

【本郷三丁目不動産】普通借家契約の特徴とメリット・デメリット

普通借家契約と、定期借家契約の違いを知るために、双方の違いや特徴を詳しくみていきたいと思います。

普通借家契約の特徴とメリット

普通借家契約では、初回の賃貸借契約以降、契約更新手続きを行えば基本的に賃貸借契約を継続することができますが、その他にも以下のような特徴があります。

●契約は「書面」「口頭」のどちらでも手続きすることが可能
普通借家契約は、書面以外に口頭でも契約をすることが可能となっています。ただし、口頭で契約を行うと「言った、言わない」の不毛な論争に発展することも多いため、証拠として残る「書面契約」が望ましいと言えます。
どうしても書面での契約を行いたくないという人ならば、口頭契約をボイスレコーダーで録音するなどの対策も良いかも知れません。(あくまでも書面手続きをお勧めします。)

●更新解除は正当な理由のみ(借主の意思)
普通借家契約は自動更新であるため、「解約したい」などの正当な理由がない限りは契約を解除することが出来ません。引っ越しはもちろん、病気や怪我によって契約を継続することが困難であるなどの場合も、契約を中途解約することが可能です。また解約する際は契約書上の中途解約条項を参照してください。解約予告が1ヶ月前や2ヶ月前など物件によって違います。
※家賃滞納などをしている場合には契約解除できないこともあるので注意してください。

●特約に関わらず賃料の増減を賃貸人に請求できる
長期的に物件を借りている場合、後からの入居者の家賃が安いという場合もあります。また、建物が劣化することで、入居時よりも品質が下がっているということもあるかも知れません。そう言った場合に、賃料の値下げ交渉などを行うことが出来ます。
また、借主に不利になるような「賃料減額請求権」を排除する特約なども無効になるため、賃料の交渉としては大きなメリットになるでしょう。しかしながら当事者間の協議が調わない場合は裁判になります。その裁判の結果で、受領済み又は支払済み賃料に過不足があった場合は年1割の割合による利息で返還もしくは不足分と利息分の追加支払をしなければなりません。賃料減額請求をする際は以上のことを念頭に置いて請求しましょう。

●特約があれば中途解約が可能
普通借家契約の場合は基本的に中途解約することが出来ませんが、契約書内に「特約事項」が記載されている場合には中途解約することが可能です。また、いかなる場合でも特約がない場合は、賃貸人、賃借人の自己都合で解約手続きを行うことは出来ません。
※重篤なけが、病気、その他やむを得ない(当人死亡など)事由が発生した場合には中途解約手続きを行うことが出来ます。

普通借家契約のデメリット

普通借家契約は、「通常の物件契約」に利用される一般的な契約方法であるため、これと言って大きなデメリットはありません。強いて言えば、自動更新であるため、「自由に引越ししたい人」や「期間限定で物件を借りたい人」にはあまり適していない契約方法と言えます。
定期借家契約制度が確立されたのは2000年に入ってからだったため、それ以前の契約では定期契約を行うことが出来ませんでした。そう言った弊害が少なくなった今、ニーズに合わせた契約方法が選べる時代になったと言えます。

【本郷三丁目不動産】定期借家契約の特徴とメリット・デメリット

ここでは定期借家契約の特徴とメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

定期借家契約の特徴とメリット

定期借家契約は、2000年3月から始まった制度ということで、比較的新しい契約方法であるともに、普通借家契約とは違う点がいくつかあります。

●契約は「公正証書」などの書面で行われる
口頭で契約できる普通借家契約とは違い、定期借家契約では、書面による契約方法しか利用できません。必ずしも公正証書である必要は無いです。契約には「証拠として残るもの」である書面の方が、トラブル時の対処にも便利なので、こちらの点は定期借家契約の大きなデメリットになることはありません。
むしろ、口頭で契約できない分、普通借家契約よりも優れていると言えるかも知れません。

●「期間満了で終了」する旨を別書面で交付し、賃借人に説明する必要がある
定期借家契約は、その特性上、「契約満了時点で契約終了」となるため、誤解やトラブル防止のために、賃借人にあらかじめ書面の配布と説明が必要になります。これもトラブル防止という観点からメリットと言えます。

●1年未満の短期契約も可能
定期借家契約では、3ヶ月や半年といった短期間の契約を行うことが可能です。家の建て替え時期のみ利用する場合や、一時的な住まいとして利用したい場合に、ホテルなどを利用していた人にとっては大きなメリットになるのではないでしょうか。

●賃料が相場よりも安い可能性がある
定期借家契約物件の中には、直近で取り壊しや建て替えが予定されているものもあります。そう言った物件を契約する際には、相場よりも安い賃料で契約を行える可能性があります。

●賃料の増減請求が可能
定期借家契約の場合も、普通借家契約と同じで、賃料の増減請求が可能となります。ただし、特約がある場合はその内容に応じて対応するため、普通借家契約よりも不利になってしまう可能性もあります。
特約で賃料減額を認めない、と定められていた場合定期借家契約では有効な条文ですので減額請求はできません。

●床面積200㎡未満の場合は中途解約申請が可能(条件付き)
賃借人の事情(病気、けが、親族の介護、転勤など)によって、契約継続が困難になった場合は、中途解約の申請を行うことができます。ただし、床面積200㎡以上の物件である場合は、この申請はできず、特約に準ずる形になります

定期借家契約のデメリット

定期借家契約のデメリットになる部分は、「継続的な契約が困難である」ということですが、定期契約を利用する人の多くは、期間限定の住まいを探している場合が多いため、あまり大きなデメリットにはならないかと思います。
定期借家契約の特徴を理解して契約を行えば、デメリットを感じずにその恩恵を受けることができるはずです。

まとめ

今回の記事では、賃貸借契約にある「普通」「定期」の違いと、メリット、デメリットについて解説させていただきました。2000年までは普通借家契約が一般的でしたが、定期借家契約も20年以上の歴史があるため、契約方法としては確立されてきています。
どちらの契約方法にもメリットとデメリットがあるので、用途に合わせてしっかりと使い分ける必要があります。今後「どういう物件にどう言った形で住みたいのか」という点を明確にして、契約方法を選んでみましょう。

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地元で35年以上、地域密着型不動産として地域に特化して本郷三丁目で不動産屋を行っています
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